2008年3月 4日 (火)

勝間和代さんの著作への書評について  Ⅰ

勝間和代さんは慶応の商学部を卒業された方で僕の先輩にあたる人です。19歳で公認会計士の資格試験に合格し、大学卒業後は外資系の証券会社やコンサルティング会社等に勤務、さらにその後独立と誰もが目をみはるような経歴をお持ちです。また、御著書「効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法」無理なく続けられる 年収10倍アップ勉強法」なども飛ぶように売れており、アマゾンでベストセラーを確認するとたいてい10位以内に勝間さんの著作がランクインしています。僕は、後輩の一人として勝間さんの業績と培われた名声を素直にうれしく思い、また尊敬の念を抱いています。なぜなら、勝間さんの自律的な志向に、ニーチェのいうところの「超人」のような力強さ、つまり「価値を創り出そうとする意思」の強さを感じるからです。「ワークライフバランス」や「勉強と仕事の両立」という問題に対する勝間さんの先進的な取り組みや考えは、社会で働くすべての人に何らかの見直しや再考を迫る、価値あるものだと考えます。

僕の勝間さん像はこれくらいにして、「他の人が勝間さんについてどのように考えているのか」ということについて考えてみたい。というのも勝間さんへの評価は一考に値する(おもしろい)現象を生んでいるからです。

アマゾンで「効率が10倍アップする新・知的生産術―自分をグーグル化する方法」の書評を見ると「勝間さん肯定派」と「否定派」にだいたい分かれています。このことは(特に売れている本なら)どの本にも観察できることでしょう。おもしろいのは否定派の書評の内容。僕の見る限り、否定派は、感情をむき出しにした説得力のまるでない非難を勝間さんに浴びせている。例えば「(効率アップの)その先に何があるのか」「組織にはむいてない」「すべての人が同じことをしたら不気味だ」などだ。僕は否定派を否定するわけでもなく肯定するわけでもなく、単純にこれらの説得力の無さに興味を覚え、なぜこんな幼稚な書評を否定派は書いてしまうのかという命題について考えてみることにした。

2008年1月 8日 (火)

「マネーはこう動く」 藤巻健史著 を読む

藤巻氏は、本書の中で一貫して、円安が現在の日本経済の活力となると主張している。その理由はいくつかあるが、例えば、外貨建て資産が円安によって増加し、消費が増え、税収が伸びる可能性があることや、円高になってしまうと製造業の工場が海外へシフトする可能性があることが挙げられる。

筆者の考えの切り口でとてもおもしろいと思った部分がある。それは「政府の戦略に合わせて投資を行う」という考え方だ。例えば財政赤字。私は普段、政府が巨額の赤字国債を発行したというニュースに接すると「またか、行き当たりばったりだな」と思う。しかし政府だって馬鹿の集まりではないから、戦略的な行動をとっているはずである。財政赤字でも然り。例えば、巨額の国債発行→マネーサプライの増加→円安へ→輸出企業の業績向上→インフレ→借金返済→金利上昇→円高へ という流れを戦略的に誘導している可能性は否定できない。この、一見戦略的に思えないものを戦略的なものとして捉えようとする考え方は個人的にとても斬新で勉強になった。

2007年12月19日 (水)

西室泰三氏の講演を聞く

今日、東京証券所会長の西室泰三氏の講演が慶応大学三田キャンパスで行われた。私は講演が行われることを前もって知っていたわけではないのだが、偶然ポスターが目に止まり、時間の都合もよかったので出席することにした。

西校舎ホールでの講演。聴衆は100名程度だが、就職活動期間中の3年生や、やる気のある2年生などが大半で、会場には少し緊迫した空気が流れていた。

西室氏は、杖と付添人の腕を借りて壇上に上がった。そしてそこから一人ゆっくりと中央に近付き、司会者の紹介のアナウンスを受けた後、力強く語り始めた。表題は「仕事の真髄」。どの学生も、氏の言葉を一言も聞きもらさまいと真剣に耳を傾けていた。

西室氏は慶応の学生時代の話から、留学や就職、東芝での営業活動、更に東証での経験などを和やかに語られた。そのストーリーは謙虚で優しさに満ち溢れた風貌からは想像もつかないほど激しかった。ひたすら未知なるものへの挑戦を続けられてきたからだ。単純な頭のよさの問題ではない。飽くなき学習欲、そして運。それがここまで成功できた要因だと氏はおっしゃっていた。

今日の講演で最も印象的な言葉は「前向きなコミュニケーション」だった。ただのコミュニケーションではなく、前向きなコミュニケーション。氏がこれまでの人生の中で感じてきた、日本人に最も足りないものであり、これから私たちが必ず身につけなければならないものである。内向き、閉鎖的、受動的。そんなコミュニケーションの形はグローバル社会の中では通用しない。たいして勉強してこなかった私でさえ何度も聞かされてきた箴言である。しかし今日ほど切実にその言葉の重みを感じたことはなかった。飽くなき学習欲を「前向きなコミュニケーション」という形にし、結果を残してきた氏だからこそ言える言葉なのだと私は思った。

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